くーちゃんが最初に脱走したのは2025年の夏でした。それから1年、再び脱走してしまいました。日中暑くなってきたので、くーちゃんが登れない高さ——天井近くの窓を少し開けて仕事に行ってしまったことが、2回目の脱走を招きました。
気配がない……またしても
その日は仕事が遅くなり、帰りに食事をしてから帰宅したので、いつもよりだいぶ遅い時間になりました。普段なら玄関の鍵を開ける音でくーちゃんが玄関先まで出てくるのですが、その日は出てきません。「寝ているのかな?」といつものソファーを見てもいない。2階かな?と上がってもいない。
もしや、と1階の天井近くに開けたままにしていた窓を見ると——網戸が外れていました。洋服をかけているラックによじ登り、窓枠へ飛び乗ったようです。網戸は窓の外側についていますが、体当たりすると簡単に外れてしまう構造。そのわずかな隙間から、くーちゃんは外へ出て行ってしまったのでした。またやってしまった……。
自宅の窓はDK窓(ドレーキップ窓)で、チルト(内倒し)にすると上部が室内側へ10〜15度ほど傾いて開きます。標高の高い地域に住んでいて、実はエアコンがありません。窓を閉め切ると暑いので、天井近くのDK窓だけ開けて、風を入れて少しでも部屋が涼しくなるようにしていたのですが、その高い窓からも飛び出してしまったのでした。
DK窓は、フィンランドの厳しい自然環境にも対応できる、高い断熱性と気密性を備えた木製窓です。
AirTagを頼りに、真夜中の捜索へ
急いでiPhoneの「探す」アプリを起動し、くーちゃんが身につけているAirTagの反応を確認しました。すると、帰宅する30分ほど前までは自宅にいたことがわかりました。30分前なら、まだ近くにいるかもしれない——。
以前、猫探偵さんにくーちゃんを探してもらったときのことを思い出しながら、急いで準備をしました。
- くーちゃんの匂いのついたおもちゃを集める
- 小袋を3〜4個用意し、くーちゃんのトイレ砂を入れる
- くーちゃんが食べている餌を袋に入れて持つ
おもちゃとトイレ砂は家の周辺に置き、餌とスマホ、懐中電灯を手に、捜索に出かけました。
iPhoneを見ていると、AirTagが反応して、近くの神社に出没したことがわかりました。家から神社までは1キロ弱。捕まえられるかもしれない、そう思って駆け出しました。
時刻はすでに夜中の0時を回っていました。日中は気温が高くなりますが、標高の高い自宅周辺は、6月はまだ肌寒く、その夜は16度くらいでした。
わずか1キロ弱の距離が、とても長く感じました。田舎なので街灯も少なく、あたりは真っ暗です。小声で「くーちゃん、くーちゃん」と名前を呼びながら探しました。
ときどきAirTagが反応して、「近くにいます」「離れました」「あと1メートルです」とメッセージが出ます。近くにいるんだ——そう思うと、なんとか捕まえられそうな気がして、くーちゃんが直前までいたであろう場所を、3時間近くぐるぐると回りました。
猫は、道なき道を歩いていた
「探す」アプリでは、確かに位置情報がわかりました。残念ながら探している最中は余裕がなく写真を撮れなかったのですが、後日、家の中でくーちゃんのAirTagを「探す」アプリでどのように見えるのかを撮影したので、ご紹介します。

「信号を探しています」→「離れています」→矢印で「右側」→緑色で「前方」と変わっていきます。近づいて方向が定まると画面が緑色になります。
AirTagや「探す」アプリの基本的な使い方は、こちらの公式ページも参考になります。参考:AirTagやその他の持ち物をiPhoneの「探す」で見つける(Apple公式サポート)
AirTagにはサウンドを再生する機能もあるので、外で鳴らせば音を頼りに居場所のあたりをつけられるのではと期待していました。ところが実際に屋外で試すと、サウンドを再生しても音を聞き取ることができませんでした。何度も鳴らせば良かったのですが、あの夜はスマホの充電が夜中でかなり減っていたのと、AirTag自体の電池が「切れたら探せなくなる」という不安がよぎり、サウンド機能をうまく使えませんでした。
後日、家の中で再現してみたところ、音は確かに鳴りました。ただ、思っていたほど大きな音ではなく、屋外の暗闇や物音の中では聞き取れなかったのも納得です。
結局、猫は道なき道を歩いているのだと改めて実感しました。AirTagが近所の家の中にあるiPhoneに反応して、「探す」アプリに一瞬くーちゃんの居場所が出るのですが、しばらくすると反応が消えてしまう。田んぼの畦道を通った形跡があるだけで、3時間歩いても捕まえることはできませんでした。
もともと野良猫だったので、自宅周辺のことはよくわかっているのだと思います。私が諦めて家に戻り、庭に座り込んで呆然としていたところ——わずか3分後、くーちゃんが気まずそうな顔をして戻ってきました。
案の定、道なき道を歩いたようで、体は真っ黒。夜中の3時を回っていましたが、シャワーでシャンプーをし、ドライヤーで乾かして、明け方にようやく眠りにつきました。いつもはお風呂の残り湯でシャンプーするのですが、そのときはシャワーを使ったほうがおとなしく洗わせてくれました。別の記事にも書きましたが、悪いことをしたと思って、普段は嫌がるシャンプーを素直にさせてくれたのかもしれません。
獣医さんに聞いた、脱走猫の探し方
後日、かかりつけの獣医さんに脱走のことを話すと、こんな話をしてくれました。
信じないと思うけどね、近所の野良猫に「うちのくーちゃんがいなくなったんだよ。探してくれないかな。お願い。こんな子だよ」って写真を見せて、じっと待っていると、野良猫が連れて帰ってきてくれることがあるんだよ。信じられないかもしれないけど、本当だよ。脱走癖のある猫ちゃんはね、待っているしかないね。数ヶ月して戻ってくる子もいるからね。
そう、真剣な顔でおっしゃっていました。さらに、名前を呼びながら探すと、飼い主の不安な声がかえって猫を警戒させてしまうから、名前は呼ばないほうがいいとも教えてくれました。
AirTagはあっても、捕まえるのは難しい
AirTagのおかげで位置情報は確かに確認できました。前回のように、どこにいるかもわからず闇雲に探すことはなく、「数分前にはここにいた」「この辺を歩いている」とリアルタイムで把握できたのは、とても心強かったです。それでも、猫を自分で捕まえるのは難しいと感じた出来事でした。
これはAirTagの仕組みによるものです。AirTagは、周りにあるiPhoneが多いほど位置が細かく・ひんぱんにわかる仕組みなので、人通りの多い都市部ではより力を発揮します。逆に、うちのように田んぼに囲まれた環境では、近くを通る人が少ないぶん、反応が途切れがちでした。
それでも、今回の捜索で得たものはありました。「探す」アプリで「近くにいるんだ」とわかるだけで、居場所がまったくわからなかった前回とは比べものにならないほど心強かったのです。そして、こちらから必死に追いかけ回さなくても、くーちゃんは家を抜け出してもまた帰ってきてくれる——そんな感触も得られました。獣医さんの「脱走癖のある猫は、待っているしかない」という言葉は、本当なのかもしれません。
今年は例年になく厳しい暑さが続いていて、エアコンのない部屋は30度を超える日もあります。家の構造上あとからエアコンを取り付けられないため、冷風機の購入を検討中です。それまでは、くーちゃんが夏バテしないように保冷剤を使った自作の「冷風猫小屋」を作り、その中で少しでもくーちゃんが涼めるよう工夫しているところです。次の記事では、冷風猫小屋にも使っている猫かごについて、詳しくご紹介します。

