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在宅か、施設か——家族で「家に帰る」と決めるまで
母が家に戻ってきてから、毎日の暮らしを一緒に考えてくれたのが、ケアマネジャーさんでした。介護のサービスをどう組み立てるか、困りごとが出てきたときに誰へ相談すればいいか。その中心にいてくれる、とても大切な存在です。
ただ、その「誰が担当してくれるのか」は、自動で決まるものではありませんでした。母の状態が要支援から要介護へと変わったとき、私は初めて、ケアマネジャーを自分で探して選ぶ必要があることを知ったのです。要支援のあいだは地域包括支援センター、要介護になると居宅介護支援事業所のケアマネジャー——これが担当のおおまかな流れです。なお、この仕組みはお住まいの地域や時期によって違いますし、近年は制度の見直しもあると聞きます。詳しくは、お住まいの自治体や地域包括支援センターにご確認ください。今回は、離れて暮らす母のために、私と弟がどうやってケアマネジャーを選んだのか、その決め手にしたことを書いていきます。
要介護になって、担当してくれる人が変わった
母が最初に受けた介護認定は、要支援2でした。要支援のあいだは、地域包括支援センターが介護予防のケアプランをみてくれていて、窓口の方がとても親身で、心強く感じていました。
ところが母は、入院中に薬の副作用で状態を崩してしまい、区分変更で要介護4になりました。このとき、担当してくれる窓口が、地域包括支援センターから、居宅介護支援事業所のケアマネジャーへと切り替わることになったのです。そのため私は、「自分で探して、自分で選ぶ」という、初めての経験をすることになりました。
地域包括支援センターは、候補は教えてくれるけれど「どこがいい」とは言えない
まず相談したのは、それまでお世話になっていた地域包括支援センターでした。相談すると、居宅介護支援事業所の一覧を見せてもらえました。とりわけ、母がリハビリを専門とする病院を退院してまもない時期だったこともあり、実家の最寄りで、なおかつ「リハビリに力を入れて対応してもらえそうな」事業所を、窓口の方が思いつく限り挙げてくださいました。
ただ、担当の方は立場上、「ここがおすすめです」とは言えないとのことでした。あとで調べて分かったのですが、これは私の地域だけの事情ではなく、地域包括支援センターには、特定の事業所に不当に偏らない「公正・中立」な運営が制度上求められているためのようです。ですから、あくまで中立に候補を示すお立場で、だからこそ、私たち家族が重視していることをこちらから具体的にお伝えし、希望に近い候補へと絞り込んでもらう働きかけが必要だと感じました。ここは少し心細くもありましたが、あとから振り返ると、いちばん大事なところだったと思います。
わが家が大事にした「軸」を、まず家族で決めた
いざ選ぶとなって、いちばん迷ったのは「何を基準に選べばいいのか」でした。本来なら、母の希望も聞きながら決めたいところでしたが、当時の母は薬の副作用(薬剤性パーキンソン症)の影響で、じっくり考えて判断することが難しい状態でした。そこで実際には、弟と私が母のことを思いながら「この先の介護で、一番大事にしたいことは何か」という軸を決めていき、母には「こうしてケアマネジャーさんを選んだよ」と、あとから伝える形になりました。
何を重視するかは、ご家庭それぞれで違うと思います。わが家が大事にしたのは、次のようなことでした。
一つめは、ケアマネジャーさんのお人柄です。これから長くお付き合いをして、何でも相談していく相手ですから、信頼できる人かどうかを大切にしたいと思いました。二つめは、母との相性です。母自身が安心して話せる人であることが、日々の暮らしを支えてもらううえで欠かせないと感じました。三つめは、実家から近いことです。何かあったときに、すぐ動いてもらえる距離であることは、大きな安心につながります。そして四つめが、電話だけでなく、メールでのやり取りもできるかどうかでした。私も弟も日中は仕事をしていて、電話だけのやり取りだと連絡を取りづらいこともあります。メールでもやり取りができる方であれば、離れていても連絡を絶やさずにいられると考えたからです。
この「軸」を先に家族で決めておいたおかげで、いざ候補を比べるときの迷いが、ぐっと少なくなりました。
候補に、1件ずつ電話してみた
年内にはケアマネジャーの候補を絞らなければならない状況でした。けれど遠方に住んでいる私は、直接お会いすることができず、電話の応対だけで判断しなければなりませんでした。
それでも、電話でのやり取りだけで、意外と分かることは多いものでした。こちらの事情をどれだけ丁寧に汲み取ってくれるか、説明が分かりやすいか、そして何より、話していて安心できるか。短いやり取りの中にも、その事業所やケアマネジャーさんの雰囲気は、確かににじみ出ていました。
電話で受けた印象は、そのつど弟と共有して、相談しながら絞り込んでいきました。時間がないと、つい最初の一件で決めてしまいたくなりますが、できれば最低でも三件は当たって、比べてみることをおすすめします。比べてみて初めて、「この対応は丁寧だったんだ」と気づけることもあるからです。
ちなみに、お住まいの地域の居宅介護支援事業所は、厚生労働省の介護サービス情報公表システムでも探すことができます。地域包括支援センターでもらう一覧とあわせて、下調べに使うと便利でした。
決め手になったこと
最終的に私たちが選んだのは、実家に近く、そして電話の対応から「この方なら、私たちの代わりに母へ寄り添ってくれそう」と感じられた事業所でした。家族で決めた軸に、いちばん近いと思えたところです。
あとから知って少し気持ちが楽になったのは、ケアマネジャーは、あとから変更することもできる、ということでした。同じ事業所の中で別の方に替わってもらう方法もあれば、事業所ごと替える方法もあります。「もし合わなかったら見直せる」と分かっているだけで、最初の一歩が踏み出しやすくなりました。とはいえ正直なところ、途中で替えるのは、お互いに労力も気も遣うものです。できることなら最初から、私たち家族と相性の合う方とご縁をいただけたら——そんなふうにも願っていました。
ケアマネジャー選びは、その後の介護の質を大きく左右する、とても大事な分かれ道だったと感じています。だからこそ、母と合う人、信頼できる人を、自分たちの手で選べたことは、その後の毎日を支えてくれる、大きな土台になりました。
おわりに
ケアマネジャーは「割り当てられるもの」と受け身に考えず、家族が大事にしたい「軸」を先に決めて、自分たちで見極めて選んでほしい——これが、実際に選んでみた私の、いちばんお伝えしたいことです。
次回は、そのケアマネジャーさんと一緒に選んだ、通所サービス(デイサービス)の選び方について書いていきたいと思います。
参考
- 地域包括支援センターとは(健康長寿ネット・長寿科学振興財団):https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/chiiki-shien/chiiki-center.html
- 地域包括支援センターの概要(厚生労働省):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/
この記事は、離れて暮らす母の介護をしてきた私自身の経験をもとに書いています。介護の制度やサービス、担当の仕組みは、お住まいの自治体や時期、その方の状態によって異なります。詳しくは、お住まいの自治体・地域包括支援センター・ケアマネジャーなどの専門家にご確認ください。


