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通院か、入院か——「近所の整形外科」を選んだ母と、世代による選択の違い

近所の整形外科と、通院か入院かの選択をテーマにした、母の介護シリーズ第2話のアイキャッチ画像 親の介護

前回は、母が圧迫骨折をしても入院を選ばず、近所の整形外科に通院して治す道を選んだところまで書きました(第1話はこちら)。今振り返ると、この選択が、母のその後を大きく左右することになりました。

では、なぜ母は通院を選んだのでしょうか。そこには、母なりの理由と、世代による考え方の違いがありました。

母にとって、近所の整形外科は「かかりつけ」だった

実は母は、骨折の前から、その整形外科に通っていました。

骨粗鬆症の治療で、テリボンという注射を打つために、定期的に通院していたのです。さらに、若い頃からの腰痛で、同じ整形外科で週に1回のリハビリも受けていました。

つまりその整形外科は、母にとって長く付き合ってきた「かかりつけ」でした。だから、圧迫骨折の治療もそこで続けるというのは、母にとってごく自然な流れだったのです。慣れた先生、慣れた場所で治したい——その気持ちは、私にもよくわかりました。

「近所だから、別の病院には行けない」

けれど、通院を選んだ理由は、それだけではありませんでした。

母には「近所の整形外科に通っているのに、別の病院に移るなんてできない」という気持ちがあったようです。ご近所付き合いのある地域で、長く通ってきた先生を変えることに、母は抵抗を感じていました。

ここは、私と母で考え方が違うところでした。私だったら、自分の体を一番きちんと治してくれる場所はどこか、という視点で選びます。でも母の世代は、世間体やこれまでの付き合いを大切にします。自分にとって一番良い選択は何かと割り切って考えるのは、母の世代にはなかなか難しいことなのだと、このとき感じました。

どちらが正しい、という話ではありません。ただ、この価値観の違いが、あとになって効いてくることになります。

痛みが引かないまま、悪化していった夏

通院を始めても、母の腰の痛みはなかなか引きませんでした。

6月に骨折してから、7月になっても痛みは続き、母はだんだん辛そうになっていきました。もともと持病のお薬も飲んでいたことに加えて、痛みで夜も眠れない日が増え、心身ともに弱っていきました。

離れて暮らす私は、電話やLINEで様子を聞くたびに、母の声が沈んでいくのを感じていました。通院はしている。でも、良くなっている実感がない。そのもどかしさの中で、時間だけが過ぎていきました。

友人の一言で、ようやく決めた入院

状況が動いたのは、8月のことでした。

母の友人が、「自分の妹も圧迫骨折をして、入院して治療したよ」と話してくれたそうです。身近な人の具体的な経験を聞いて、母はようやく「入院してみようか」という気持ちになりました。

不思議なもので、私や家族がどれだけ「入院を考えてみたら」と勧めても動かなかった母が、同世代の友人の一言で決心したのです。これもまた、母らしい選択の仕方でした。こうして母は、骨折から2か月が経った8月、ようやく入院することになりました。

それでも、伝えたいこと

今あらためて思うのは、治療する場所は「世間体」ではなく「自分の体を一番きちんと治してくれるかどうか」で選んでほしい、ということです。

母の骨は、1年が経った今も、まだ完全にはつながっていません。あのとき、もっと早く専門的な治療を開始できていたら——そう思う気持ちは、正直あります。けれど、母には母の価値観があり、それを頭ごなしに否定することもできませんでした。

もし同じように、親の治療の選択で迷っているご家族がいたら、お伝えしたいことがあります。親の気持ちを尊重しながらも、「一番良い治療は何か」という視点を、家族の側からそっと差し出してあげてほしいのです。

入院を決めた母を、私は少しほっとした気持ちで見ていました。けれど、本当に大変だったのは、この入院のあとでした。入院先で、今度は思いもよらないことが起きるのです。次回は、その話を書いていきます。


この記事は、離れて暮らす母の介護をしてきた私自身の経験をもとに書いています。症状や治療の受け止め方は人それぞれ異なります。ご家族の状況については、かかりつけの医師にご相談ください。

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